説法・法話
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高野山の食事

僧侶になって20年近く経ちますが、今でも参拝客にもっとも多く聞かれることは

「お坊さんってお肉って食べないんですか?」

という質問です。
やはり高野山という場所柄、俗世と離れた生活をしていると肉などを食べていないのではないかと思うのが普通のようです。

他宗のことは詳しく述べられませんが、高野山においての修行「加行(けぎょう)」の間は、肉(牛、豚、羊など一般的に四つ足で歩くもの、鶏)、魚、卵といった動物を食べることは禁じられています。
その他「五辛」と言われる辛みや臭気の強い野菜(大蒜ニンニク・韮ニラ・葱ネギ・辣韮ラッキョウ・野蒜ノビル)も取るべきではないと言われております。
辛さが強いから、ニオイが強いからと言うだけではなく、精力がつきすぎてしまうからという理由もあるようです。

加行僧侶や高野山の宿坊に泊まられる方が食べるのは一般的に「精進料理」と言う食事です。

加行中は日本人の生活の中には欠かせない鰹だしを使うことができません。
主に昆布とシイタケのだしを取ったもので料理を作るので、たんぱくと言うかアッサリと言う味わいになるものです。


さらに加行中の僧侶は、午後に食事をしてはいけないという規律があります。
朝6時ごろに朝食、午前11時半頃に昼食と言う生活ですが、実際行を行っている僧侶からすれば、午前中の二食だけでは食事の量が足りません。
そこで、薬食(やくじき)と言われる夕食を取るのです。
と言ってもこの食事ももちろん精進ですから、好きな物を食べられるというわけではないです。

しかし、鶏肉に似た見た目と食感を楽しめる大豆でできたから揚げとか、お肉の代わりに見た目は油揚げ、食感はこんにゃくで代用されたカレーライスなども食べることができました。
加行中はカレーの香辛料は五辛に入らないの?なんて話をみんなでしながら食べていたのを思い出します。



高野山にお越しになる方で、宿坊に泊まられる方にも精進料理をご提供しております。 

上記に書いたとおり、精進料理って色々と制限があって味もおいしくないんじゃないかと思われるかもしれません。

僕は小さいときから、宿泊客のお出しするお食事を食べて育ってきました。
その当時僕が一番好きだったおかずに、ニンジンのてんぷらと山芋の蒲焼きがあります。 

ニンジンを笹がきのように切ってかき揚げのように揚げたもので、ニンジンは甘いものという印象が強く残ったものでした。
山芋の蒲焼きはすりおろした山芋に醤油を塗ったのち海苔を貼り油で素揚げしたものですが、見た目がウナギの蒲焼きに似ており喜んで食べたものです。

「精進料理」という枠組みは、新しい野菜が入ってくるにつれて年々広がっている気がします。
今ではとうもろこしを使ったスープ…コーンポタージュのようなものや刺身に似せて大根のツマに乗せられているこんにゃく、焼きナスをステーキのようにして提供することもあります。
京都の料亭などで懐石料理を食べているのと、何ら差がない(ちょっと言いすぎかもしれませんが)料理を召し上がれるのです。

「お肉やお魚がなくても十分おなかいっぱいになりました」
「野菜ばかりなのに満足感は高いですね」


これから秋になるにつれ、高野山の精進料理は多くの食材のおかげで華やかなものになります。

ぜひ高野山で、精進料理を味わってみてください。


副住職

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